(敬称略・順不同)
わが国は、毎年数多くの台風が来襲するほか地震の多発国であり火山活動もあるという正に災害多発国です。また、地球温暖化に伴う異常気象の影響なのか近年は局地的集中豪雨が発生し、思わぬところで大洪水が発生しております。
万一、大規模な災害が発生しますと災害の発生状況の把握、被害の状況の把握、負傷者の有無の確認、避難誘導の要否の判断とその実行、被害の軽減措置、災害救助活動など、極めて緊急を要する事態となり、各段階で多くの情報授受が迅速・的確に行われなければなりません。
ご承知のとおり市町村では、住民に災害情報等を伝達する手段として防災行政無線を設けておりますが、その多くは街頭にスピーカーなどを設置する同報通信方式で、言わば一方通行の情報伝達であり、住民側からの情報発信はできない状態です。住民から市町村役場への情報伝達手段としては固定電話や携帯電話が通常ですが、大規模災害が発生しますと、回線が混雑し、直ちに使用不可能な状態になることが予想され、住民と市町村災害対策本部との間の情報授受は途絶した状態に陥ってしまいます。
国土交通省をはじめ各防災関係機関では、非常事態に備えて各種の情報伝達手段を構築してはいますが、それらは各機関の本来業務の目的達成のために設けられているものであり、到底十分な住民対策のための情報授受までおこなう余裕はないものです。
非常災害時にきめ細かい情報伝達手段の機能を発揮することができるアマチュア無線は、市町村の隅々での災害状況、被害状況、負傷者の有無、避難所の状況などの情報を災害対策本部に伝達することにより、社会に貢献することができるものです。
アマチュア局の災害対策については、JARLで平成7年の阪神・淡路大震災を機に「非常通信に関する基本方針ならび非常通信実施要領」を設けていますが、より災害対策を強固にするための参考資料として、「アマチュア局の非常通信マニュアル」を作成しました。
このマニュアルは、災害の「発災前」、「発災時」、「発災沈静後」との三段階に分けて作成しましたが、地震対策を中心に書いてあります。
アマチュア無線をおこなう方々が災害対策を検討される際にご活用いただけましたら誠に幸いです。
https://www.jarl.org/Japanese/2_Joho/2-4_Hijou/index-manual.htm